sound village
ちびちび炭酸水を含みながら
すっかりご機嫌を損ねた事を
アピールすべく、“見合い相手”から
“女帝の使者”へと成り下がった
柏木君へジットリした視線を送る。
その眼差しを苦笑で受け止め
柏木君は、グラスをテーブルに置き
両膝の上に肘をついて顎を乗せた。
「なあ、レンちゃん。
さっきの話やけどな。」
こちらの反応を見ながら
彼は言葉を紡いでいく。
「俺、もうすぐ日本に戻るやん。
事務所はうちの会社…ああ、
転籍したけど…とにかく
一部居室を賃貸借契約するやん。
例えば、レンちゃんが振った俺は、
多分、すぐに彼女できると思うねん。」
…そうね…モテるだろうよ。
あんた達は…モテるだろ。
っつーか、少しは謙遜しろよ!!
「それで、これまで弄ばれた
仕返しとばかりに、他の女の子と
一緒にいる姿を、レンちゃんの視界に
入れる様にするけど。」
え!?どんな仕返し?!
それ以前に、人聞き悪いっ!!
序に、性格も悪いんですけど!!
「それでもいい?
レンちゃんが、振ったんやって
事で、我慢してくれる?」
「できるかっ!」
つい、心の中の突っ込みが声となり
即刻反応してしまう。
「そうやろ?嫌やろ?
だから、俺の事選んでよ。」
「っつ!!どんな二択!?」
柏木君は、愉しそうに、
私が手にしたままのグラスを取り
テーブルに並べた。