sound village
 


でも、まぁ…

結婚は、もうちょっと
よく考えるよう諭すとして

…取り合えず

レンちゃんの

「…降参です。」

あんな口説かれ方をしたのは初めて。
斬新すぎてビックリしたけど。
柏木君が、他の女の子と一緒に
居るところは、やっぱり見たくない。

「どういう意味?
分かりやすく教えてよ。」

主導権を握った
クソ生意気な元部下は
愉しそうに口角を引き上げる。

「結婚は、
もう少し考えるとしてね。

ずっと…大好きだったよ。
陽一郎。」

言ってる途中で照れくさくなって
俯いてしまったけど…

無反応な隣の男が気になって
顔を上げれば、いつも
飄々としていた柏木くんは
耳まで真っ赤になって
口元を覆って瞳を見開いてる。

「可愛いヤツめ。」

思わずクスッと笑みが溢れ
片手を伸ばし頭を撫でれば

「見んといて。」

そんな台詞と共に、
フイッと横を向いて拗ねてるし。

「待たせちゃったね。」

たまらずクスクス笑えば

「大丈夫。これから今迄の分
速攻で詰めていくから。」

そういって、その腕に
強く抱き寄せられた。



 







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