sound village
「今回は、ゲームだけに
全神経集中しても大丈夫やな。」
ボールを指先で器用に回転させ
柏木は言う。
「なぁ…プロポーズって
何でそんな断られんの?そもそも
そんな何回もリベンジ出来る
もんなのか?」
そろそろ俺だって結婚を考える
年齢に至ってる訳で、つい不躾な
質問をした事を、柏木は咎めもせず
実直に答えをくれる。
「…ああ、レンちゃんにしたら、
俺を思っての判断やと思う。でも、
俺はそれを超える答えを出せるから。
OKくれる迄、何度だって言うよ。」
「そっか。変な事聞いてゴメン。」
さて、この話もここまで。
他人の耳に入っちまうからな。
「気持ち悪いし、謝るな。
それに、取敢えず隣に居る権利は
もぎ取ってるからな。心配無用や。
だって、相手、俺やで?」
何か勝算があるのか、不敵な笑みを
浮かべ、柏木は、本日のチームリストを
手にして米国の同僚のところへ
戻っていく。
アイツが、ああ言うって事は
音村係長が陥落する未来は
意外と近いのかもしれない。
まぁ…俺は、どんな形であれ
二人が、幸せだと思えるなら、
望む様に共にあれるなら
それでいいと思うんだけどな。
さあ、俺も行こう。