sound village

歩くフェロモンの正体**side斐川



そろそろ、本日のゲームも
残りわずかとなった。

なにせ人数が多い事と
先取点制が功を奏して
適度に身体を休めながら
善戦出来てる状況だ。

そしてリヒトと神島の彼女が
初戦以降のチーム編成を
その場で組み替えてゆく。
知ってはいるが、鮮やかな
軍師っぷりに感服する。

「斐川。次、一緒やな。」

つい今しがた、ゲーム終わりの
柏木がドリンクボトルを持って
こちらへと、やって来た。

「もうちょい空けて。」

…他にも場所はあるのに、
何ゆえ俺の隣に座りたがる。

無言で少し場所を譲れば
観客席を見上げて、柏木は
クツクツ笑う。

「ふーん…お前のカノジョ、
あの子か。感じ良さげな子やな。」

教えたハズもないのに、勝手に
人の恋人を当ててしまう勘のよさに
ギョッとして、無表情のまま
隣のオトコを見遣ってしまう。

「あ?バレへんと思ってた?
お前、休憩の度、あの子が見える場所
陣取ってたやん。」

その台詞に完全に動揺してしまう。

クソッ…バレない様に
細心の注意を払っていたと
いうのに…

「心配せんでも、人事部長みたいに
チョッカイださへんよ。」

そう言って柏木は笑う。


 









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