sound village
 

『なあ、シュン。
ヨウは何してるんだ?
あれ、俺が狙ってる子だよ。
まさか、ナンパ?抜け駆け?』

空気を読みきれ
なかったんだろう。
身長2m近くある米国組が
照明の影を作り、俺に
ブーイングを溢し、
それをきっかけに、
若干、遠慮気味な
雑音が生まれた。

…お前達、グッジョブ。
褒美に一部答えをくれてやろう。

『バカタレ。カノジョは
柏木陽一郎の恋人だよ。』

そうヤツ達に告げれば。

“えっ!?そうなのか!?”
“マジか!?でも俺は、
もう一人の子狙いなんだけど。”等、
口々に好き勝手なコメントを
吐き出していくから。

“残念だな(笑)もう一人は人妻だよ。
どっちにしても、係長も女帝も
お前達の手に負える相手じゃねぇよ。”

…と、心の中で呟く。

『…なぁ、シュン。
それにしても…
ヨウイチロウとカノジョは
何を話しているんだい?』

かつて、柏木の膝を壊し、
治療方法を探した
今ではヤツの親友とも呼べる
アントニオが、二人の様子を
眺め様子を訝しむ。

『…ああ…あれは…』

一瞬説明するべきかと、言い淀む。

…っつうか…俺も
どうなるのか、超気になんだよ。
解説してるヒマなんかねぇーの!



 










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