sound village
秘密まみれのオトコ**side斐川
まったく、あの人達は…
“真琴くんの上司さんたちの
ライブを見にいってきますね。”
係長達に、カノジョを
連行されたと気づいたのは、
体育館の片付けを終え
シャワーを済ませた後のこと。
スマホにメールの着信と
3人の自撮り写真の添付を
見つけて、愕然とする。
普通、初対面の
“部下のカノジョ”を
かっさらって
行くものだろうか?
…大人のクセに、
のこのこ付いていく方も
付いていく方だと思うが…
まぁ…好奇心旺盛な
彼女のことだ。
喜んでついて行った事は
想像に容易い。
…だから、
一人でバスケ鑑賞等、
退屈だろうから
来なくていいと言ったのに…
いや、来てくれて
嬉しかったけど…
誰かにナンパされたり
トラブルにあわないか
気が気では無かったから、
係長達といてくれるなら
安心といえば、安心なのだが。
女帝と音村係長にかかれば、
啓太のカノジョの様に
ファンになってしまうのは
時間の問題だろう。
あ、いや。啓太のカノジョは
ファンになった方が先だと、
何度も言っていたな。
きっと、今頃、
盛り上がっているのだろう。
迎えに行ってやるか。
啓太も、打ち上げだけは
参加すると言っていたし。
まだ濡れたままの髪を
かきあげて、同級生達と別れ、
メールにあった場所へ向い
歩きだした。