M√5

「いえ、気にしないでください。
 ……間に合うか? 電車乗るにしても微妙な距離だし……」


表面では平気な振りしてる二人でも、実際かなり時間押してる様子。


……これから行くの?


……そもそもなんで今、彼女を連れてここに来たの!?



「……もしよかったら、車で送りましょうか?
 私が原因なんですし、そのくらいさせてください」


考えていたら、女性が車の鍵を取り出しながら言ってきた。


「え、いいんですか!? ……すごい助かります」


「いえ。急いでるんですよね?
 校門からちょっと歩いたコインパーキングに停めてあるんで、行きましょう」


「あの、将人……!」



呼び止めてみても、慌しい雰囲気には敵うこともなく、そのまま彼らは行ってしまった。


芽奈と二人きりになって、なんとも言えない空虚感に襲われる。

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