M√5

慎重に発した一言。


私は何も言えなかった。



「……考えてみれば、俺が勝手にお前をボーカリストにしちゃったんだし。
 DJかドラムは、どっちか必要な人材だし。

 ……深樹斗も、珠月も、俺信頼してるし」


最初は事務的な口調で、でも最後はゆっくりと言った将人。


……信頼、なんて言われたら……。



……頷くことしか出来ない。


……それと同時に、胸がキュッと締められた感覚がある。


あまりに息苦しくて、つい制服のリボンタイを掴んだ。



「じゃあ……M√5で、最終確定で……いいな?」


将人が一人ずつ目を合わせていく。


それにみんな、頷いて返す。

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