M√5


……でも私は……出来なかった。


あまりに胸の痛みがひどくて。



「……珠月?」


唯一リアクションをしない私を疑問に思って、声をかける将人。


でも痛みは増すばかりで、返事をすることすら出来ない。


苦しくて、呼吸が浅くなる。



「……おい珠月!! 大丈夫かお前!!」


ざわついてくる音楽室。


地震でも起きたみたいに、ぐらぐらと地面が揺れる。



ついに私はしゃがみ込んでしまった。


「珠月!!」


「え、どうしたの珠月!」


みんなの声が遠くで聞こえる。

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