M√5

「将人、√4になっちゃってちょっと寂しそうだったし。
 深樹斗にも、早く馴染めるように……。気休め程度にはなるかなって」


私のミサンガの『M』が見えるようにして、少し小さな声で言ってみる。



「おしみんな、つけようぜ! 左腕だ!」


将人のそれを聞いて、みんな一斉に付け始める。


口を使って縛る人、器用に左手も使う人、結び方にも個性が出ている。



「……ありがとう」


将人達よりも早く結び終わった深樹斗が、私のところに来て、私がやったように『M』が見えるようにして穏やかに言った。


少し低い綺麗な声に、一瞬頭が痺れる。


「……私も後から来たタチだからね。喜んでもらえて、よかった」


……やっぱり、深樹斗とは、将人達とは違う仲になりそう。


「深樹斗と私はボーカル仲間だし、よろしくね!」

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