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その時、バタバタという慌ただしい足音が聞こえた。
「ちょっとそのバンド!! もう下校のチャイム鳴ってるでしょ!
早く出てってよ! そこ一応、吹奏楽部の活動場所なんだからね!
怒られるのは、部長のあたしなんだから!」
「あー、ごめん村ちゃん」
突然ドアを開けて入ってきたのは、吹奏楽部部長の旭村伶生-Rei-。
将人と同じクラスで、クラスでは『村ちゃん』と呼ばれているらしい。
「村ちゃんって言うなー! 早く片付けろ!」
旭村さんは、自分の苗字が嫌いらしい。
それは多分、私たちの市には『旭村』があるから。
きっと、小学生の頃にでもからかわれたんだろう。
そして、大騒ぎしていて気づかなかったけれど、確かに最終下校を知らせるチャイムが鳴っている。
そういえば、将人が飛び込んできたのも、そろそろ片付けようかという頃合だった。
旭村さんには申し訳ないことをした。