M√5

「今日は行くよね? もちろん」


「当たり前。こんな気持ちのまま帰れるか!
 それにおれ、全く練習してねぇし」



校門を4人並んで出て、数歩歩いて交わされた会話。


「あそこの雰囲気、何なんだろうね……。
 メンバーもやることも音楽室と変わらないのに、何か無駄に楽しくなる。
 音楽室も、秘密基地みたいでおれ好きなんだけど。タダだし」


まだ2、3回しか行ったことのない深樹斗がそう呟く。


全くの同意を示したのは、5、6回しか行っていない私。




今私たちが目指しているのは、学校帰りにあるカラオケ。


一応学校帰りのカラオケは禁止されてるけど、誰一人守ってないし、先生もほぼ黙認。



私たちは、今日みたいにビッグニュースがあったり、半数以上が部活に出て練習が満足に出来なかった日など、ここに立ち寄って、練習する。


誰が決めたわけでもないけど、ここでカラオケしたことは一度もなかった。


あくまで、練習の延長線上。

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