M√5

やっぱ二人で歌う姿は……かっこいい。


二人でも充分やっていけると思うのに……。


なんで、『バンド』に拘るんだろう。



点数は80点。


想像より低かったが、楽器やコーラスが入るとどうしても点数は下がってしまう。



「あぁ! 誰も曲入れてねーじゃん。
 歌ってる間に入れとけよ、時間もったいないだろー」


「ご、ごめん」


私同様見とれていた深樹斗が慌てて機械を手にする。


それを見て、口端を上げて気だるそうに笑う将人。


普通の人なら見ていて印象悪くなるような笑い方でも、将人なら不思議と嫌な感じがしない。


むしろ、『将人の笑顔』として定着してしまっている。


そう思って、じっと将人を見ていると、不意に目が合った。


どきり、と心臓が高鳴る。



……えぇ、なんで!?

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