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家に帰ったのは、9時を回った頃だった。
「……ただいま」
しーんとする室内。
小さい頃はそれを淋しいと思っていたけれど、今日のような日はそれが心地いい。
私の母は通訳士で、世界中のいろんなところに仕事に行くようなエリート。
一方父は、画家。
でも、全然人気なくて、一人じゃ生活出来ないくらい。
でもまぁ、お母さんがその絵に一目惚れして、幸いお母さんがキャリアウーマンだったから、お金には困らずゴールイン。
お父さんは早くお金稼げるように、道端で絵を書いて売っている。
最近何人かファンができたらしい。
だから私の家は、孤独な静かな家じゃなくて、陽気な静かな家。
お父さんもお母さんもお気楽人だから困る。
でもまぁそのおかげで、お父さんが帰ってくる11時くらいまではフリータイムだ。