0時のシンデレラ

「おねーちゃん、おにーちゃん、
ありがとう!!!」

「本当にありがとうございました」

ようやく男の子の母親が見つかった。

「良かったね!
もう迷子にならないでね」

「よく泣かなかったな!
男だもんな!」

「うん!ありがとう!」

男の子と母親は去っていった。
凛音と礼音は2人に向かって、
手を振った。

「…良かったね」

「…あぁ、そうだな」

2人の姿が見えなくなると、
凛音と礼音は歩き出した。

「………」

「………」

凛音と礼音はお互いに黙ったままだ。

「…なぁ」

しばらくして、礼音が
沈黙を破った。

「ほんとに俺のこと、
覚えてねーの?」

「は?まだ言う気!?」

「…ふっ。…もーバレてもいっか。
俺、お前のこと…」

礼音は「好き」という言葉を
口にすることができなかった。

「…!」

なぜなら、礼音の口は
凛音の手によって塞がれてしまったからだ。

「…その先は言わないで。
聞きたくないから…」

凛音は礼音の口を手で塞ぎながら、
とても小さい声で言った。

…私、どうしたんだろ?
聞きたくないだなんて…。
別に断ればいいだけじゃん…。

「…ごめん……。
…えっ」

凛音が下を向いていると、
いきなり腕を引っ張られた。

「……!
…んっ………」

腕を引っ張られたかと思ったら、
礼音にキスされた。

「…れ、おん…っ」

凛音は礼音の胸を押し、離れた。

「…なっ何すんの…」

「お前が好きだ。
聞きたくないとか言うな」

「………」

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