0時のシンデレラ
「…萌葉」
「………」
「萌葉、こっち向け」
「………」
グイッ
敦は萌葉を抱き寄せ、抱きしめた。
「…萌葉、好きだよ。
これ、過去形じゃなくて進行形だから」
「…ウソだ」
「何でだよ、ウソって。
俺がこんなときにウソ言うと思うか?」
「…思わない」
萌葉は敦の腕の中で、
声をしぼるように言った。
「…前にさ、萌葉が
たくさん話しかけてくれたこと
あったじゃん?
俺の席まで来てさ」
「…うん」
「あんときさー、
ちょうど凛音に振られたばっかで、
萌葉のこと『しつこい』って思ってた」
「…うん」
萌葉はただただ、うなずくだけだった。