好きになった人は…双子の兄でした。【完結】
私はフラフラと歩き始めた。



振り返るとずっと遠くに育の取った場所が見え、かき氷の入っていた紙コップが寂しげに放置されていた。


笑い声が耳をつく―――



こんなお祭りの中…



心で泣き叫んでいる人なんていないだろう…



カップルや家族連れの笑顔を見ると余計に自分が惨めになる…



行こう…



何処かに……



こんなとこもう嫌だ…



私はトボトボと宛てもなく歩く。



下駄が歩きにくい…



こんなもの履いてくるんじゃなかった…



辺りが静かになり、日も傾いていた。
< 118 / 408 >

この作品をシェア

pagetop