好きになった人は…双子の兄でした。【完結】
育は泣いていた…



私はハッと我に帰る。



仁美は呆然と見つめているだけだった…



『…育…育っ!止めて!』


私は育を止めにかかったが育は治まりそうにない…



「……っ……謝れよっ……」


和也君は意識が朦朧としているのかグッタリしていた。



それでも育が和也君を殴る手は止まらない…




『育っ!止めてっ!和也君が死んじゃうよぉぉぉ』




私は泣きながら和也君の背中を覆う…



その瞬間、育の手は止まり…酷く悲しげな表情を見せた…



『育……もう…いいよ……』




育はノロノロと立ち上がり……



呆然としながら私と和也君そして、仁美の横をすり抜けて帰って行った。




『育………』



仁美が育を呼んだが振り返る事もなく…




パタン―――――



家の扉が閉まった音がした。
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