好きになった人は…双子の兄でした。【完結】
カチャ…



育の部屋を開けた。



扉から顔だけ覗き込んだ。



『あ……育ったらまだ寝てるじゃん…全くもう…』




私は鞄を下に置き育の寝ているベッドに近づく。




『育ー遅刻しちゃうよ!早く置きて!』



育を揺さぶる。



『育…育?』



育の様子が変だ。



額を触って見る。



『あ…熱い…育、熱あるじゃん!』



「ん………あぁ…」



育が気が付いたのかうっすらと目を開けた。



『育…大丈夫??』




「俺は大丈夫だから、由奈は先に学校へ行け…」



『でっ…でも…』



「い…いいから……」




私は育の言葉を無視し、押し入れから少し厚つめの掛け布団を出した。




『昨日…私に風邪引くぞって言っておいて育が風邪引いてるじゃん』




そう言いながら育に布団を被せる。



『寒い?』




「大丈夫…サンキュー…」


育は再びスースと寝息を立てて眠りに着いた。
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