好きになった人は…双子の兄でした。【完結】
今もまだ…



由奈の部屋はそのままだ…

時々、母が由奈の部屋で思い出の詰まった写真を眺めている‥

僕達の事は知らせていない。


由奈が身体をはって、俺の事…
俺の将来を守ってくれたのだから。


俺の気持ちもあの時から止まったまま…



あの後、仁美と和也は大学へ。
何度か顔を合わせた事があったが、お互いに話し掛ける事はなかった。


佳代さんとも会った。
俺は佳代さんに殴られ…泣き縋られた‥

どうして避妊しなかったのか。
どうして一緒にいてやれなかったのか。
どうして止められなかったのかと…


その後、佳代さんに女の子が産まれ、【由奈】の1文字を取って
【由衣】と名付けてくれた。
俺が幸せに出来なかった分、私が幸せにすると睨みつけた佳代さんの
顔が今でも忘れられない‥



俺の過ち。
償っても償っても消える事のない過ち‥。
一生を掛けて由奈に償って生きていくと心に決めた‥



その後…
2年浪人して大学へ行った。




大学も無事卒業して…

決まった就職先が東京だから…

俺は今、荷物を片付けている…


タンスに飾ってある、色褪せる事のない、
笑顔の由奈の写真を見つめ涙が止めどなく流れ落ちる。


俺も由奈から卒業しなきゃな…
と呟いた…
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