賭けで動く恋

手帳にしまっていた名刺を取り出して電話をかける。

「はい、日比野です」

「お久し振りです、日比野さん。加賀です」

「加賀さん!?久し振りですね。絵の方は順調ですか?」

数コールして出た日比野さんが何気なく聞いてきた事に、目に膜がはる。

「……日比野さん」

「どうした?何かありましたか?」

私の震えた声に、心配そうに問いかける日比野さん。

泣き出してしまう前に手早く用件を伝えようと1つ深呼吸をして出来るだけ声が震えないように注意して言葉を口にした。
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