賭けで動く恋
左腕と『一昨年』
どれ位泣いてたか分からないけれど、泣きすぎて頭が痛みだした頃インターフォンが鳴った。
泣いていてみっともない顔で出るわけにはいかないから居留守を使おうとしたけど、何度も何度も鳴らされるインターフォンに顔をしかめて、仕方なく今まで1度も使った事の無いインターフォンの受話器をとった。
こんな時に一体誰だろう。しかもこんなしつこく……。
「どちら様
「恵実さん!!」
受話器から聞こえたのは、好きな人が切羽詰まった声で叫んだ私の名前だった。
「…あ…つし…さん…」
「恵実さん、話しがしたいんです。顔を見せて下さい」
切なく懇願するその声にすぐにでも玄関を開けたくなったけれど、そうしてしまえば妹さんは私の事をばらす……。
そこまで考えてハッとした。