キミに、恋に落ちる。
「いつも思うけれど、とても美味しそうなお弁当よね」
そう。
棗さんはいつだって、栄養バランスと彩りを考えてくれて。
そして美しい見た目をしたお弁当にしてくれる。
「これ、叔父さんがいつも作ってくれてるんです」
「叔父様が……?」
「はい。私、両親がいないので。叔父さんと二人で暮らしているんです」
私がそう言うと、先輩は明らかに“しまった”と言う表情を浮かべる。
「あ、気にしないで下さいね。別に寂しいとか、悲しいとかはないので!」
私は正直あまり、両親の事を覚えていない。