封印戦慄映像
「久実ちゃん、いいじゃないか。僕らだけでも先を確かめよう。無事だったらここに戻って、陸也を呼べば良いじゃないか……

あ、そうか。陸也は僕らを実験台にしたいんだ。なんだかんだ言って、自分だけは安全な場所にいたい。その思いだけなんだ」


茂はピチピチッとしたジーパンのポケットにミネラルウォーターをねじ入れ、準備万端のようだった。


「ふんっ、毎回撮影のたびに怯えていたくせに、女の為になると必死になるんだな。俺は俺で別なルートを考えてみるさ」


「酷いよ陸也、女とか……そんなことじゃないでしょう?」


「いいじゃないか! こんな奴は置いていこう!」


茂が無理やり手首を掴み、あの丸模様があるはずの壁面へ引っ張った。
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