封印戦慄映像
「何を考えているのよ! 逃げるのが先でしょう? そう簡単に、人を忘れられるはずがないじゃない!」


「く、久実ちゃん……それよりも……今、壁にぶつかったら、スイッチのような物を押してしまった――」


「え……? なに……この音――」


シューシューと、なにかが噴出している。スチームや水蒸気、そんな物質の音と似ていた。


「まさか……ガスじゃ? 大変だ! 久実ちゃん、口を押さえるんだ!」


――ガス? 確かに、わずかだが空気に異臭が混じっている。


「り、陸也! ここを開けて! 大変なの! 助けて!」


「開けてくれ! 陸也! さっきは悪かった!」
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