封印戦慄映像
「久実ちゃん、俺、頑張ります! それじゃあ早速、カメラの接続を確かめるか……三画面の分割表示が出来るように、パソコンに設定をしておくね」


静かな部屋にキーボードの音が再度奏で、それを邪魔すかのように直子が大きな欠伸をした。


「この部屋寒いわよね? 暖房はないのかなぁ……コートの下は私、半ズボンなの。トイレに行きたくなっちゃった――ちょっと失礼」


直子は色白のほっそり美脚を売り物にしていた。いつでも完璧に手入れをし、年がら年中、半ズボンを穿いていた。隙間風が下半身を冷やしたんだろう。


直子がトイレに向かうと余計に肌寒さが気になった。腕を手の平で擦る。


「大丈夫か久実? 俺のコート、着るか?」


「ううん、平気。ありがとう冬馬」


直子がいなければ、気を使わず会話が出来るのに……。
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