封印戦慄映像
「ピーチクパーチク囀りやがって! 罪人の戯言は、いつ聞いても下種でカスだな!見て分からないのか?

折角捕らえた者を、なぜ簡単に手放さなきゃならない。頭のネジでも緩んでいるのか?」


上の階でみていた紳士的な良寛さんの姿を、想像出来ないほど、冷たく別人のような喋り方だった。


「頭のネジってなによ! 早く放しなさいよ!」


「直子、冷静に交渉するんだ……きっと、これには訳があるんだろう」


窘める冬馬に、直子は口を閉じた。


「ほう……やっとまともに、会話をする気になったか?」


「罪人って……どんな罪なんですか、良寛さん?」


どこを見れば良いのか分からず、宙に視線を泳がし発言した。
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