封印戦慄映像
「ほう。久実とやらは、この罪人に裏切られても尚、自らの命を差し出すと?」


「なにか問題でも? それで冬馬が助かるんでしょう!」


もう冷静では、いられなかった。重力に引っ張られ、体がしんどい。自分の体重がこんなに重いとは思わなかった。宙に磔にされるのが、こんなにも苦痛だとは思いもしなかった。


叫ぶたびに喉元、手首、足首に鉄が食い込む……痛い。


でも心の方がもっと痛かった。目の前で冬馬や直子が死ぬなんて想像もしたくなかった。


「久実、お前……そんなに俺のことを?」


「いいじゃない冬馬、久実がそう言っているんだし。もう足が痛いよ、ボタン押しちゃいなよ」
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