封印戦慄映像
「きゃあ!」


冬馬の指先がボタンを押すのを止めると、二人の牛がまたゆっくりと動き出す。


絶対絶命、断崖絶壁――もうどうにもならなかった。こうしている間にも、冬馬の顎は有無を言わさず引っ張り上げられる。


「く、苦しい……ちきしょう――」


「早く冬馬! 久実のボタンを押して! ズ、ズボンが!」


直子の半ズボンがビリビリと裂け始めている。デニムの太い白い糸が切れ目から飛び出していた。


「冬馬いいよ! 私のボタンを押してよ! 貴方が死ぬのは見たくないよ!」


「冬馬! 久実がそう言っているんだから早く……ボ、ボタンを押して――い、いったぁーい!!!!」
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