封印戦慄映像
 陸也は私の目線に合わせ、そっとしゃがんだ。陸也も涙を零しそうに瞳が潤んでいる。


――死んじゃったんだね、二人とも……一緒に仕事をしてきた仲間だったのに――こんなことって!


手を取り、ぎゅっと握り締められる。慣れていない、別な男の人の熱。でも少しだけ心強かった。


――冬馬……私も愛してた、沢山愛してたんだよ?


二人の付き合っていた記憶が次々と思い返され、涙がポタポタと絨毯に落ちては消えた。


「月並みことしか言えないけど……もう忘れろ。逃げ出すことだけを考えようぜ。これ以上仲間を犠牲にはしたくはない!」


強めの口調。自分に言い聞かせた思いの言葉。


――そうよね。今は脱出が先よ。
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