封印戦慄映像
 陸也の大きめな声に、慌てて指を引っ込めた。


――そうだね、馬鹿みたい。もう忘れなきゃいけないのに。


するとその光り輝く球体は小さくなり、ふわりと移動した。一つだけ自由に動く、淡い光。真っ直ぐに茂がいる方面に動いた。


「うわぁ! なんだよ! 来るな! あっちへいけ!」


そんな声も空しく、茂がいた壁に近づき、もう一度ライトのように大きく光り輝いた。


「うわ! 眩しい! やや、これは?」


「どうしたの? 茂? ちょっと見せて!」


私は茂を突き飛ばし、照らされている壁をに両手を当てた。


「これは牛の模様……押して見てもいい?」


「でも久実ちゃん、またこんな残酷な部屋だったらどうするの……牛なんて不吉じゃないのかい?」
< 74 / 146 >

この作品をシェア

pagetop