封印戦慄映像
 つい今しがた、鎖で繋がれた足枷の牛。口角が異常に上がり、まるで悪魔の笑みを浮かべているようだった。その表情と同じ物が壁に描かれている。


直子の命を奪った牛の絵……怖くないはずがない。でも他にもう、得策なんてない。


「俺が押すよ。どうしても最初の部屋に戻ってカメラを取り戻さなくっちゃならないんだ。怖ければ、お前らは後ろへ下がっておけ」


そういうと有無を言わさず、陸也は模様を押した。白く描かれた牛に鈍い光が走る。


「……やっぱり開いたわ」


スライド式に扉は開かれ、足を踏み込んでみると一番最初に居た部屋だった。テーブルの上には残した食べ物や飲み物がそのままの状態になっている。


「やったぜ! これでカメラが取り戻せる。寝室のカメラはいらないよな。外してくるぜ!」
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