封印戦慄映像
 私は陸也を見据えたが、カメラマンとしての意欲に根負けした。


「……分かったわよ。すぐに戻ってきてよ。これ以上は不安にさせないで」


震える声に陸也は真剣な面持ちになった。


「大丈夫。幽霊くらいなんでもないさ。ましてや相手が人間だとしたら、もっと心配ない。

……そうだ、これを渡すのを忘れていた。冬馬の椅子の横に落ちていたんだ。お前のだと思う」


陸也から受け取った四角い箱をそっと開けた。


「指輪? ……私の誕生石だ」


「やっぱりな、お前の物だと思った。あいつ、久実のことだけは本気だったってことだな。お守り代わりにしたらどうだ?」


誕生石……誕生日も近くないし――もしかしてプロポーズをしようとしていた?
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