だるまさんが鬼になった

現実に目を背けて何が悪い。迷惑はかけていないし、なにより関係ないことだ。

他人を思う形だけなんてモノ、そっちの方が綺麗事で現実逃避。


髪を掻きあげ砕けたロリポップの片を歯にこすれさせる。


人間としてのレールは何か。踏み外してはいけないものは何か。

私は間違ってなんかいない。



「あ、……またメールきてるし」



溜め息をつきノートパソコン前へ移動。カーソルを動かし新着メール一覧を見れば、また同じメール。

【招待状】は止まらない。

どうせ内容も同じなのだろうと削除した。クソメー改めイタメーになんぞ構ってられるか。


そうしてデスクパソコンに戻ろうとしたとき、また『ラ』の音が鳴った。

思わずしかめっ面になる。



「しつこいな」



苛立ちを露にした声色でノートパソコンを睨む。

また【招待状】。

いい加減にしろと心の内で舌打ちをしながら削除ボタンを押す。

だけど、


『ラ』『ラ』『ラ』『ラ』『ラ』『ラ』『ラ』『ラ』『ラ』『ラ』『ラ』『ラ』『ラ』『ラ』『ラ』『ラ』……


止まることの知らない【招待状】メールのエンドレス。

削除して新しいページに飛ぶと既に10件は同じメールがきている。


これは、一体なに?


震える瞳孔を開き、【招待状】を開く。やっぱりそこには同じ文面が………。


いや、まだ下に続いていた。


カーソルを動かせば、大きく空白をつくって文の続きが書かれていたのだ。

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