あなたの孤独に気づくまで
ベッドに入り込んだものの、なかなか寝付けなかった。
壁側を向いている恵はもう寝てしまったんだろうか。
「…恵。」
小さく呟いてみた。
一時して
「…なぁに?」
と、小さく返してきた。
私は自分の手をぎゅっと握りしめて言った。
「恵は桜の花みたいに散らないよ。」
もっと、
もっともっと、
たくさん言いたい事はあったのにそれだけしか言えなかった。
少し間が空いて、恵がこっちを向いて
「…ありがとう。」
と呟いて、また壁側を向いた。
それ以上はお互い何も話すことなく、そのまま朝を迎えた。