きっと絶望だ

 袋を破きカッターナイフを取り出し、夏でも変人よろしく長袖をまくり上げた。

 荒い息のまま右腕と左腕を震わせながら、刃を腕に押しつけた。

 充満する鉄の匂いに脳を犯されながら、痛みすら快感にかえ、溢れ零れる血が興奮を煽る。

 腕を伝った血が服を汚し、くたびれたスニーカーの上に色をつけた。

 刻まれていく腕の傷に汗だか涙だかわからない液体が零れ、さらなる色を生み出し腕を這う。

 
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