きっと絶望だ

 くだらない現実でも、外界に触れなければ傷つくこともない、傷つかなければ私が私を傷つけることもないだろうとした彼の思いはおよそ二週間続いた。

 二週目のその日、彼が立ち上がった。

 合体とか融合してもおかしくないくらいに近づいた二人の距離が離れる。

 生活だとか社会からの隔離がなんたらとか、この先の未来がどうとか言って、彼はその日から仕事に復帰した。

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