ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
俺の名前は、大橋敬太。
都内の公立高校に通う3年生。
今日は9月9日、俺の18回目の誕生日だ。
一度聞いたらなかなか忘れない9のゾロ目。
しかし……。
「起立、礼!」
「さよーならー!」
――ガヤガヤ。
騒がしい教室。
「あー、やっと終わったぁー! 早く帰ろっ」
「うん! そうだ、駅前のクレープ屋寄っていこうよ」
「「いいねえ~」」
――ザワザワ。
「ぁ……」
俺と仲のいい女子3人組は話しながら、見向きもせずに帰っていく。
いつもより膨らんでいた補助カバンに詰まっていたのは俺へのプレゼントじゃなかったらしい。
ただ俺ひとりが、期待に胸を膨らませていただけだった。
いつもつるんでいる男子ふたりに至っては、すでに教室から消えているという特典付き。
結局最後まで誰ひとり、学校で俺に「おめでとう」と言ってくれたクラスメイトはいなかった。
自分から”祝って感”をアピールするのはカッコ悪いと思った結果がコレ。
「はぁ~……」
瞬く間に誰もいなくなった教室でつく、深いため息。
その姿こそが本当にカッコ悪い。
「敬太!」