亡くなった彼女の蹴り
彼女は、慌てて僕の所に来るとハンカチを出してこめかみを押さえながら謝った。
僕は、彼女の慌てぶりにまたもおかしくなり笑いながら大丈夫と繰り返した。
彼女のブーツがもろにヒットしたようだった。
血が出ていたが大した事は、無かった。
僕らは、ベンチに戻りしばらく血が止まるのを待った。
彼女は、まだ謝っていたが僕は、そんなに謝らなくて良いと言った。
彼女が、動転しているのを見ていると急に愛しくなり僕は、彼女を抱きしめた。
ダウンジャケットの上から背中をさすると彼女は、急に泣き出した。
僕は、しばらく彼女を抱きしめながら背中をさすり続けた。