月と太陽
「何考えてたの?」

スクールバッグに教科書を詰めながら麗佳が言う。

「あ、別に、何も」

辺りを見回すと、みんなが帰りの支度をしていた。

わたしが知らぬ間に授業が終わっていたらしい。

「最近のしずく変だよ?何だかボーッとしちゃって」

「わたしは元々ボーッとしてるよ」

「更によ!何かあったんでしょ〜?どうしたの?日下くんと喧嘩でもしたの?いや、でも毎日一緒に帰ったりしてるわよね」

麗佳は明らかに面白がって理由を追求しているように見えた。

しかし、麗佳に知恵を借りようという考えは、わたしにはこれっぽっちもなかった。
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