月と太陽
わたしも机の上に開かれている教科書を閉じ、ノートと一緒にスクールバッグの中へしまった。

すると、窓側から誰かが近付いて来る気配を感じた。

わたしはそれがタケルだと、何となく気付いていた。

ふと見ると、やはりそこにはタケルの姿があった。

「しずく、俺、今日掃除当番なんだ。先に帰ってるか?」

タケルの言葉にわたしは「ううん、玄関で待ってる」と答えた。

タケルは「わかった」と言い微笑むと、席へ戻って行った。

瀬戸先生の帰りの連絡事項が終わり、号令と共にみんなが教室を飛び出す。

タケルと共に教室に残った匡人は「めんどくせ〜」と言いながら、涼から箒を受け取ていた。

涼は掃除当番ではないらしく、担ぐようにスクールバッグを肩に掛けると、ダラダラと掃除を始めるタケルと匡人とお喋りを始めた。

そんな彼らを眺めたあと、わたしは1人教室を出て、玄関へと向かった。
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