月と太陽
授業中はずっと、幸ちゃんの悲しげな顔が頭から離れず、他に何も頭に入って来なかった。

あんなにストレートに言ってしまって、もっと違う言い方があったのではないかと、後悔する気持ちが心の片隅にあったのだ。

麗佳がしつこく、タケルのことを話題に出してきて、きっと周りの噂から「付き合っているのか」を確かめたかったのだと思う。

朝から幸ちゃんが現れたせいで「青学の奴が来てた」ということも話題になっていた。


やっとお昼休みになり、わたしはお母さんの手作り弁当を持って、タケルと共に屋上へ向かった。

匡人は梨子を迎えに行き、売店に寄ってから屋上へ来ることになっている。

涼も売店に行くと言って、1人で教室を出て行った。
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