月と太陽
story,6
もう夏が終わる。

気温はまだ高いというのに、ついこないだまで生温い風が吹いていたと思っていたが、いつの間にか秋風に入れ替わっていた。

東京にいた時は夏が長くて鬱陶しかったが、北海道はあまりにも暑い期間が短過ぎて、少し寂しさを感じた。

しかし、暑いのが苦手なわたしには丁度良いかもしれない。


あの日以来、幸ちゃんはわたしの前に姿を現さなくなった。

ロン毛の奴らも現れていない。

やはり、もっと良い言い方があったのではないかと思う後悔は消えず、その後悔が「幸ちゃんとまた話がしたい」という気持ちを湧き上がらせていた。

そして、タケルと「恋人」という関係になってから、もうそろそろ2ヶ月が経つと思う。

実は、付き合い出した日にちをハッキリと覚えておらず、大体でしかわからない。

あの時は、タケルと恋人同士になれたことが嬉しくて、日にちなんて気にもとめていなかった。
< 162 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop