月と太陽
ある日、タケルから「今週末は、どこかへ出掛けよう」と提案があった。

どうやら、デートになりそうだ。

人混みが苦手なわたしは、今まで出掛けることを避けてきたため、タケルもわたしの気持ちを考慮してデートの誘いを控えてきた。

最近になって、動悸も息切れもほとんど表れず、自分でも気持ちが穏やかに過ごせている思うようになり、心の治療の次のステップに進むために出掛けることを決意した。

つまり、リハビリのようなものだ。

行き慣れていない場所に行くのは恐いが、タケルと一緒なら乗り越えられる、そんな気がした。


下校時間、いつものように匡人と梨子、涼、そしてタケルと共に校舎を出る。

すると、校門前に亜利沙の車が停まっているのが見えた。

近付いて行ってみると、運転席の窓が開き、サングラスをかけた亜利沙がニコリと笑った。
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