月と太陽
「今日は、しずくを迎えに来たの」

サングラスを外して亜利沙が言った。

「しずく、乗って!あ〜、それから梨子にも付き添ってもらいたいわ」

突然の亜利沙の言葉にわたしが突っ立っていると、梨子が見兼ねて背中を押してくれた。

まるで梨子は、何かを知っているようだ。

「涼の意見も聞きたいから、乗って」

亜利沙がそう言うと、涼は静かに微笑んで助手席へ乗り込んだ。

後部座席に乗ったわたしは、窓の外のタケルを見上げる。

タケルも何が何だかわからないような表情を浮かべていた。

「タケル、匡人。しずくと梨子をちょっと借りるわね」

亜利沙はそう言って、運転席の窓を閉めた。
< 165 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop