月と太陽
校舎前にタケルと匡人を残し、亜利沙は車を走らせた。

車は、日下家がある方向とは逆の方向へと走って行く。

わたしは亜利沙に向かって「どこに行くの？」と訪ねたが、答えてくれたのは梨子だった。

「これから、服を買いに行くのよ」

「服？」

「今週末、タケルと初デートでしょ？その為の服よ」

そう言って、梨子は嬉しそうに笑う。

その言葉に付け加えるように亜利沙が「だから、お洒落しなきゃね」と言った。

「え、でも、わたし服買うためのお金なんて持って来てないし」

わたしがそう言うと、亜利沙は「あたしが持って来てるから大丈夫」と答えた。

車は街中へ入って行き、テレビ塔が目の前に見える。

初めて見る景色に戸惑ったが、ワクワクするような温かい気持ちが少しずつ戸惑いを消していった。
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