月と太陽
わたしは亜利沙の部屋を出て、階段を下りて行った。

胸がドキドキと高鳴る。

階段を下り切って、リビングを覗いて見ると、そこには外出する支度を済ませたタケルがソファーに座り、点いているテレビを観るでもなく、何だかソワソワした様子でリビングのあちらこちらに視線を移していた。

すると、後ろから階段を下りて来る足音が聞こえて来た。

振り返ると、そこには亜利沙が居て、歩み寄って来ると、後ろからわたしの肩に手を置き、そのままリビングへと潜らせた。

わたしたちに気付き、こっちを見るタケル。

タケルは何も言わず、わたしを見つめた。

タケルの目には、今のわたしがどう映っているだろう。

似合わない?気合い入れ過ぎ?

タケルの口が開くまでは、安心が出来なかった。
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