月と太陽
ママは毎日のように、仕事が終わるとそのままデートに出掛けたり、帰って来ないこともあった。

1人の時間があまりにも多過ぎて、1人の食事も美味しくなくて、静かな夜が寂しくて眠りながら泣いた。

ママは、寄りかかれる場所を作ったが、わたしには何もない。

かと言って、作ろうとも思わなかった。

1人でいい、そう思った。


わたしが高校に入学し、少し慣れ始めたもみじの季節、ママは彼と別れ、また新しい彼を作った。

どうやらネットで知り合ったらしく、毎日パソコンの前から離れない。

ママが家にいることは増えたが、会話なんてあるわけがなく、寂しさでいっぱいの心が満たされることはなかった。

2年生に上がってすぐだった。

ママから北海道に引っ越したいと言われたのは。

わたしは「ふ〜ん」と返事をした。

了解したつもりはなかったが、ママは賛成してくれたと誤解したらしく、引っ越しの話はいつの間にか進んでいた。
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