月と太陽
わたしたちは、地下鉄の3駅先で降りた。

地上に上がると、すぐ目の前にバスターミナルがあり、その2番のバス停に並んだ。

1番から乗っても降りたいバス停を通るのだが、この時間なら2番の方が先にバスが来ると、タケルが教えてくれた。

「しずくは、大丈夫だよ」

足元に落とした視線をわたしに向けて、タケルが言った。

「しずくは、いい母親になりそうだし」

わたしが呟いたことに対してのコメントのようだ。

「そうかなぁ、自信ないけど。その前にわたし結婚できなさそう」

「なんでそう思うんだ?」

「わたしなんかと結婚してくれる人なんていないよ」

「そんなことないさ。しずくは魅力的だ」

またタケルがそんなことを言うもんだから、わたしは彼を目を細めて見上げた。

タケルはわたしの言いたいことを悟ったのか「馬鹿になんてしてないよ」と付け加えた。
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