月と太陽
そうしている内にバスが来た。
乗車すると、わたしたちは2人用の椅子に座った。
男子と2人きりでこんな風にバスに乗るのも、この距離感で座るのも初めてで、心臓の鼓動が全身に伝わるほど大きくなるのが感じられた。
これが彼に伝わってしまうのではないかと、必死で平気なフリをした。
「なぁ、しずく」
名前を呼ばれてドキッとする。
正直、今まで男子から下の名前を呼び捨てにされたことはなく、呼ばれ慣れてないため異常に反応してしまうのだ。
「今日だけじゃなくて、これからもたまにこうして一緒に帰ってくれないか?しずくが嫌じゃなければだけど」
わたしはこの距離で彼を見上げることが出来ず、自分のモジモジした手を見つめながら彼の声に耳を傾けていた。
「べ、別に嫌じゃ、ないけど」
「けど?」
「い、嫌じゃないから、別にいいわよ。一緒に帰ってあげても」
タケルのククッと笑う声が聞こえる。
また馬鹿にされてる。
でも、嫌な気分にはならなかった。
「ありがとう」
タケルは優しく囁いた。
乗車すると、わたしたちは2人用の椅子に座った。
男子と2人きりでこんな風にバスに乗るのも、この距離感で座るのも初めてで、心臓の鼓動が全身に伝わるほど大きくなるのが感じられた。
これが彼に伝わってしまうのではないかと、必死で平気なフリをした。
「なぁ、しずく」
名前を呼ばれてドキッとする。
正直、今まで男子から下の名前を呼び捨てにされたことはなく、呼ばれ慣れてないため異常に反応してしまうのだ。
「今日だけじゃなくて、これからもたまにこうして一緒に帰ってくれないか?しずくが嫌じゃなければだけど」
わたしはこの距離で彼を見上げることが出来ず、自分のモジモジした手を見つめながら彼の声に耳を傾けていた。
「べ、別に嫌じゃ、ないけど」
「けど?」
「い、嫌じゃないから、別にいいわよ。一緒に帰ってあげても」
タケルのククッと笑う声が聞こえる。
また馬鹿にされてる。
でも、嫌な気分にはならなかった。
「ありがとう」
タケルは優しく囁いた。